「細菌性疾患」


<炭疸

「病原菌」 炭疽菌

「感染動物」 ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジなどの草食獣

「感染経路」 接触・吸引がほとんどで、肉を食べての感染事例もある

「症状」
<人間> 皮膚炭疽、肺炭疽、腸炭疽に大別されるが、皮膚炭疽が90%以上。
皮膚炭疽は皮膚の局所に発疹、浮腫、水疱などを作る。放置しておくと致死的な敗血症になる。皮膚炭疽、肺炭疽、腸炭疽に大別されるが、皮膚炭疽が90%以上。
肺炭疽は悪寒戦慄、高熱、全身倦怠、呼吸困難、咳嗽、喀血などを呈し、ショック、心臓衰弱で死に至る。
腸炭疽は腹痛、吐血などを起こし、ショック、チアノーゼなどを呈して死に至る。
<動物> 急性敗血症で斃死が多い。ブタは非定型的なことが多く、局所(咽喉頭部が多い)の病変を作ることが多い

「予防」 動物用の炭疽ワクチンはある

※ 日本ではほとんどウシからである


<ブルセラ症>

「病原菌」 ヤギ流産菌・ブタ流産菌・ウシ流産菌・イヌ流産菌(ブルセラカニス)

「感染動物」 ヤギ・ブタ・ウシ・イヌ(特に各動物の流産胎児や流産後の排泄物や尿)

「感染経路」 接触感染

「症状」
<人間> 悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、関節炎など、インフルエンザに似ている。
<動物> 胎盤炎、流産、精巣炎、陰嚢炎、潰瘍など。

※ ほとんどの場合動物もヒトも無症状
※ 日本での発生は無い。


<サルモネラ症>

「病原菌」 サルモネラ菌

「感染動物」 哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類などだが、飲食物が主

「感染経路」 接触感染

「症状」
<人間> 主に胃腸炎。発熱、吐気、嘔吐、水様性下痢などで、重症では粘血便を排泄する。
幼小児では敗血症型の感染もある。
<動物> 成獣は無症状が多い。発熱と下痢が主症状で、重症では粘血便を排泄する。
幼弱な場合は敗血症で死亡する場合もある。

「予防」特に無し

※ 卵からの感染が主だが、ほぼ100%ミシシッピーアカミミガメ(ミドリガメ)は菌を保有している。
動物からの感染では、特にイヌ・ネコ・カメから幼児への感染が多い。



<豚丹毒>(類丹毒)

「病原菌」 豚丹毒菌(A〜F型の6型に分けられる)

「感染動物」 主にブタ。鳥類、魚類、げっ歯類など

「感染経路」 接触感染

「症状」
<人間> 主に胃腸炎。発熱、吐気、嘔吐、水様性下痢などで、重症では粘血便を排泄する。
幼小児では敗血症型の感染もある。
<ブタ>
慢性型・・・心内膜炎型と関節炎型が含まれる
心内膜炎型・・・ほとんど無症状
関節炎型・・・関節の腫脹と跛行
敗血症型・・・発熱と全身症状、皮膚に慢性の発赤が生じ、治療しないと80〜90%の死亡率
蕁麻疹型・・・皮膚に菱形の発疹

「予防」 ブタにはワクチン接種

※ AとB型がヒト及び動物に対する病原体
※ 日本ではブタのみに発生。人間の発生率は非常に低い。


<結核>

「病原菌」 人結核菌・牛結核菌

「感染動物」 ウシ、スイギュウ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコなど

「感染経路」 乳牛および牛乳からが主

「症状」
<人間> 生乳の飲用で感染の場合は頚部リンパ節、尿生殖器、骨、関節に病変(結核結節)が形成される。
動物から直接もしくは気道感染した場合は肺結核を起こす。
<動物> 重症では痩削、貧血、食欲不振、泌乳量の減少、咳などだが、ほとんど症状を示さない場合もある。

「予防」 BCG接種


<非定型抗酸菌症>

「病原菌」 非定型抗酸菌

「感染動物」 哺乳類、鳥類、冷血動物など

「感染経路」

「症状」
<人間>結核とほとんど区別がつかない

「予防」 無し


<野兎病>

「病原菌」 野兎病菌

「感染動物」 野ウサギ、野生げっ歯類、ヒツジ、ヤギ、ニワトリなど

「感染経路」 接触感染、ダニやアブの刺傷による感染

「症状」
<人間> 突然の悪寒、戦慄で始まる。
(潰瘍)リンパ節型・・・発熱、頭痛など感冒様の症状に続き、皮膚の化膿、潰瘍形成、所属リンパ節の腫脹が見られる。
その他、眼リンパ節型、扁桃リンパ節型、胃腸型、肺炎型、チフス型などがある。
<動物> 敗血症
「予防」 米・ソではワクチン接種。日本では行われていない。


<カンピロバクター症>

「病原菌」 カンピロバクター菌

「感染動物」 ペット、家畜動物、家禽類などだが、飲食物(特に食肉)が主

「感染経路」 経口感染

「症状」
<人間> 発熱、粘血便を伴う腸炎。半数以上は敗血症で、髄膜炎、下痢、心内膜炎、関節炎、流産など。
<動物> 無症状がほとんどだが、幼若な場合は下痢、サルでは嘔吐、下痢、腹痛、発熱などが見られる
ウシ、ヒツジ、ヤギでは流産が見られる。(ウシでは一時的な不妊も)

※ 食中毒として問題


<パスツレラ症>

「病原菌」 パスツレラ・ムルトシダ(非出血性敗血症型菌)

「感染動物」 イヌ、ネコ、ライオン、ヒョウ、ウシ、ヒツジ、ブタ、シカ、ニワトリ、ネズミなど多くの動物(特にネコからの感染が多い)

「感染経路」 引っかかれたり、噛み付かれたりすることによる。又、濃厚な接触(キス、口移し、添い寝etc)、飛沫による場合もある。

「症状」
<人間> 局所の激しい疼痛、発赤、腫脹で発症し、発熱、リンパ腺腫脹、関節痛などが出る場合がある。
深い咬傷の場合、骨髄炎、敗血症性関節炎が見られる場合がある。

<動物> 動物はほとんどが無症状だが、まれに気管支炎。

「予防」 特に無し


<エルシニア症>

「病原菌」 エルシニア・エンテロコリテチカ

「感染動物」 イヌ、ネコ、ブタ、げっ歯類など

「感染経路」 経口感染。飲食物からがほとんどで、稀に糞便。

「症状」
<人間> 下痢を主とする胃腸炎症状、虫垂炎、腸間膜リンパ節炎、関節炎、紅斑など幅広い
<動物> まれに下痢などが見られるが、多くは無症状。


「予防」 特に無し


<仮性結核>

「病原菌」 仮性結核菌

「感染動物」 哺乳類、鳥類など

「感染経路」 ほとんどが経口感染

「症状」
<人間> 敗血症、虫垂炎もしくは腸間膜リンパ節炎、下痢症、結節性紅斑、ほか幅広い
<動物> 元気消失、下痢などで、無症状の場合もある

「予防」 特に無し


<リステリア症>

「病原菌」 リステリア菌(リステリア・モノサイトゲネス)

「感染動物」 哺乳類、鳥類など

「感染経路」 ほとんどが動物以外からの感染で、接触及び垂直感染だが不明な点も多い

「症状」
<人間> 主として髄膜炎で、髄膜脳炎、敗血症なども見られることがある
<単胃動物及び鳥類> 主として敗血症
<反芻動物> 主に脳炎で、流産や敗血症も見られる。

「予防」 特に無し


<ペスト>

「病原菌」 ペスト菌

「感染動物」 主としてげっ歯類で、イヌ、ネコ、アナグマ、キツネ、コヨーテ、サル、イエウサギ、野ウサギ、マングースなど

「感染経路」 ノミの吸血(腺ペスト)、飛沫感染(肺ペスト)

「症状」
<人間>
腺ペスト・・・発熱、嘔吐、頭痛、所属リンパ節の腫脹、疼痛などで、無治療の場合は敗血症を起こし50%は死に至る
肺ペスト・・・咳、血痰、呼吸困難などで、死亡率90〜100%である

「予防」 特に無し

※ 1930年以降、日本での発生は無い


<鼻疽>

「病原菌」 鼻疽菌

「感染動物」 ウシ、ヒツジ、ブタを除く哺乳動物(主はウマ属)

「感染経路」 接触及び飛沫感染。汚染肉の摂取

「症状」
<人間> 敗血症、膿性鼻汁を伴う肺炎、皮膚に潰瘍形成を伴う急性化膿性感染もしくは慢性化膿性感染を起こし、致死的経過をたどる。
<ウマ> 鼻疽結節が形成され、膿性鼻汁、鼻粘膜の潰瘍、皮下のリンパ節の腫脹など。
急性型の場合は1〜2周間くらいで敗血症死に至る。

「予防」 特に無し

※ 日本での発生はほとんどない



<類鼻疽>

「病原菌」 類鼻疽菌

※ 動物からヒトへの感染は見られず、水、土などからの感染なので、狭義の人畜共通伝染病の範疇には入らない。


<細菌性赤痢>

「病原菌」 赤痢菌(シゲラ)

「感染動物」 サル

「感染経路」 経口感染

「症状」
<人間> 膿・粘液・血液を混入した下痢、発熱、腹痛、嘔吐などで急激に発病する。重症例ではしぶり腹を伴い、小児では中枢神経ならびに循環器障害が現れる。尚、死亡率も高い。
<サル> 血液・粘液が混じった軟便、液状便。尚、無症状の場合もある。


<大腸菌症>

「病原菌」 大腸菌

「感染動物」 哺乳類、ニワトリなど

※ 特異性が強いので、動物種ごとに独立していると考えられる。
※ 動物からヒトへの感染はほとんど見られず、関連は不明である。


<破傷風>

「病原菌」 破傷風菌

「感染動物」 ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウシなどが主で、イヌ、ネコでは珍しい。動物からの感染はほとんど無い。

「症状」
<人間> 四肢や躯幹が硬直、痙攣など
<動物> 瞬膜露出、激しい痙攣、屈伸不能、呼吸困難、光や音に対する過敏症。


「予防」 ワクチン接種(トキソイド)。

※ 日本では幼児期に百日咳・ジフテリアとともに3種混合ワクチン(DPT)として接種している。



<レプトスピラ症>

「病原菌」 病原性レプトスピラ(総称)

「感染動物」 げっ歯類が主で、イヌや家畜など

「感染経路」 経皮・経口・接触感染

「症状」
<イクテロヘモラギア>
人間・・・高熱、筋痛、結膜充血、出血、黄疸、肝臓・腎臓障害などで、腎不全で死亡するケースもある。
イヌ・・・急性の出血性黄疸の症状を起こし予後不良である。

<カニコーラ>

人間・・・脳髄膜炎症状
イヌ・・・嘔吐、下痢、口内潰瘍などの尿毒症。腎臓には化膿性間質性腎炎。

<秋疫B>

人間・・・発熱、頭痛、筋痛、結膜充血、リンパ節腫脹、蛋白尿など
ウシ・・・血色素尿、黄疸など

<秋疫A>

人間・・・妊娠中では流産
ウシ・・・血色素尿症

<秋疫C>

ウシ・・・血色素尿症

<L.pyrogenes>

ネズミが感染源

<その他>

家畜・・・黄疸、貧血、流産など

「予防」 イヌはワクチン接種


<鼠咬症>

「病原菌」 鼠咬症スピリルム、モニリホルム連鎖桿菌

「感染動物」 げっ歯類

「感染経路」 げっ歯類に噛まれる。汚染食品の摂取

「症状」
<モニリホルム連鎖桿菌>
人間・・・発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹。発熱と無熱期が交互に繰り返され、発疹と関節炎。
<鼠咬症スピリルム感染症>
人間・・・発熱、発疹

「予防」 ワクチン接種(トキソイド)

※ 
日本では鼠咬症スピリルム感染症が多い


<ライム病>


「感染経路」 マダニ

「症状」
<人間> 輪郭の明瞭な紅斑、関節炎。
<動物> 関節炎、神経炎、発熱。



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